Sakana AIは2025年初頭にApplied Teamを始動し、金融と防衛を社会基盤分野として注力してきた。今回公開されたインタビューでは、防衛分野でSoftware Engineerとして働く伊藤大氏(元LINEヤフーで大規模分散システムや広告検索のリランカー開発を担当)が、業務内容を具体的に語っている。
業務は大きく2軸ある。インテリジェンス領域では、SNS空間の偽情報対策技術を独自開発し、読売新聞社との共同で『認知戦』の可視化に応用。防衛領域では、ドローン等の現場データを統合・分析する指揮統制システムを構築し、部隊行動の状況把握と意思決定を支援する。
技術的に注目すべきは、クラウド前提のWebアプリ構成と並行して、DDIL(通信が阻害・切断・断続し、帯域が著しく制限される)環境向けの分散システム設計を選択している点だ。エッジ推論と多様な入力デバイスを組み合わせる構成は、民間Webサービスの常識とは異なる設計原則を要求する。一方で言語スタックはPython(バックエンド)、TypeScript/Next.js(Web UI)、Kotlin(Android)と標準的で、tooling統一はmiseで軽量に行うという実装の現実感も示された。
組織面では、Applied Research EngineerとSoftware Engineerの役割を固定せず『できる仕事を全員で取り組む』初期フェーズ体制を採る。防衛ドメイン未経験者でも、防衛省・外務省出身のエキスパートの支援でキャッチアップ可能と明示し、採用障壁を意識的に下げている点が特徴的だ。生成AIは情報ガバナンスを守る前提で実装・ゴール設定・課題抽出に活用する一方、出力品質には『人が確実に介在する』という運用原則も明文化された。