「使いこなす」から「使いまくる」へ、設計思想が記事の核
DeNAのIT戦略部コーポレートオペレーショングループ(CorpOps)が公開した本記事は、経理・人事領域の全社共通システム運用を担うチームが、隔週「AI Meeting」で蓄積した実践知をまとめたものだ。タイトルの『「使いこなす」より「使いまくる」』が示すとおり、完成された運用設計を待たず、業務に当てて回数を稼ぐスタンスが全体に貫かれている。
特に注目すべきは、ツール選定が「何ができるか」ではなく「何をさせないか」で語られている点だ。ダブルチェック自動化ではGeminiがインターネット上の情報を拾って誤判定したため、アップロード資料内のみで思考するNotebookLMに切り替えて精度を改善している。情報源を閉じる選択がそのまま品質改善に直結した実例だ。
ハルシネーション回避の鉄則「計算させるな、計算機を作らせろ」
もう一つの核は、生成AIの確率的出力との付き合い方である。大量データの整合性チェックをAIに直接計算させるのではなく、チェック用プログラムをAIに生成させることでハルシネーションを回避したくだりは、生成AIをコード生成器として使う設計パターンの教科書的な事例だ。
Google MeetのAI議事録を会議名で自動振り分けするGASをAIに書かせ、手動共有の手間を排除した例も同じ構造に立つ。AIを実行体ではなく自動化コードの生産者として位置づけることで、出力の検証可能性とハルシネーション耐性を同時に確保している。
GeminiにPDFを渡すだけで条文OCRと抽出が完結した事例は、専用OCRツール導入を前提にしてきた情シスの調達判断にも影響する。本記事自体の約7割が生成AI執筆で、Googleカレンダーのアジェンダをインデックスに使って事例選定の偏りを補正した点まで開示されており、AI活用の「現場差分」を読み解く一次資料として機能している。