OpenAIはポーランドの化学スタートアップMolecule.oneと協力し、最新モデルGPT-5.4を中核とする「ほぼ自律的なAI化学者」が、医薬品づくりの難しい化学反応を実際に改善したと2026年6月17日に発表した。フロンティアAIモデルが現実の実験室(ウェットラボ)で自律エージェントとして働いた初の公開事例とされ、両社の協業は3ヶ月間にわたって実施された。
対象となったのは創薬で分子を組み立てるChan-Lamカップリング反応だ。一級スルホンアミドが絡む難しい一種は歴史的に収率が低く、医薬品化学での実用性が限られてきた。従来は人間の化学者が経験と試行錯誤で条件を調整してきたが、今回はGPT-5.4が実験計画から結果の解釈まで関与し、人手の介入を最小限に抑えて取り組んだ。
この事例は、文章生成や予測にとどまっていたAIが現実の実験設備を動かす自律エージェントとして成果を出した点で新しい。OpenAIは理論物理(GPT-5.2)や生命科学(GPT-Rosalind)でも実証を重ねており、科学研究へのAI適用が一連の流れとして加速している。創薬や材料開発の現場で、研究開発のコスト構造や人材配置を見直す材料になる。