EUのAI規制動向を専門に追ってきた『The EU AI Act Newsletter』が、2026年5月16日に第100号『The European Way』を発行した。100号という節目は、AI Actが提案段階から成立、そして段階的施行へと進む過程を継続的に記録してきた専門メディアの蓄積を象徴している。
AI Actは2024年に成立し、禁止される利用形態の規定から段階的に施行が始まり、汎用AIモデル(GPAI)に関する義務、高リスクAIシステムへの適合性評価義務へと適用範囲が拡大してきた。第100号のタイトル『The European Way』は、米国の事業者主導の自主規制とも、中国の国家主導の統制とも異なる、基本権保護とイノベーション促進を両立させようとするEU独自のアプローチを意味する。
日本の事業者にとって重要なのは、AI Actが域外適用を持つ点だ。EU域内のユーザーにAIシステムやその出力を提供する場合、設立地が日本であっても規制対象となる。GPAI提供者には学習データの概要公表、著作権ポリシーの整備、技術文書の保持が求められ、これらは単なる紙の対応ではなく、開発プロセスそのものへの要件となっている。
日本では2025年にAI関連法が成立し、ガイドラインベースの運用が進んでいる。EUの執行実績は、日本のソフトロー的アプローチがどこまで国際整合性を保てるかの試金石となる。EU市場展開を計画する事業者は、適合性宣言、法定代理人の指名、リスク管理システムの構築といった具体的タスクを、開発ロードマップの一部として組み込む段階に入った。