AWSは2026年5月12日、Amazon Machine Learning Blogで「Amazon Quick」の5つの新機能を公開した。中核となるDataset Q&Aは、自然言語の質問から直接SQLを生成し、数百万行のデータに対してサンプリングなしで全件実行、秒単位で回答を返す。BIで一般的だった集計済みキューブや抽出データを介さず、生データに対して都度SQLを発行する設計が特徴になる。
社内導入事例として、AWS Technical Field Communities(15,000人超のメンバー)でクエリ精度が48%以上向上し、典型的な質問への解決時間が90分から5分未満に短縮されたと公式ブログが明記している。データ依頼を受けてSQLを書き検証するという従来の業務フロー自体が、自然言語Q&Aで圧縮される構図になっている。
ガバナンス面では、既存の行・列レベルアクセスポリシーがAI生成クエリにも自動適用される。AIが新たな抜け道を作るのではなく、既存の権限境界をそのまま継承する設計で、追加設定なしで列単位の閲覧制御を維持できる。個人情報保護法対応で列マスキングを運用している日本企業にとって、AI追加時の権限再設計を回避できる構成として参照できる。
セマンティックエンリッチメント機能では、「売上は返品後の純額」「前年比は会計年度ベース」といったビジネス定義をAIに教え込める。さらにオーケストレーターが複数の専門エージェントを順次呼び出し、マルチステップ質問に対して統合した回答を生成する。単発の自然言語SQLにとどまらず、複合的な業務質問への応答までを射程に入れた構成になっている。