AWSは2026年5月20日、機械学習ブログでKiro CLIの会話記憶をAmazon Bedrock AgentCore Memoryで拡張する実装解説を公開した。Kiro CLIはターミナルからKiroのAIエージェントを呼び出すツールで、これまで会話セッションを越えた長期記憶の保持には外部実装が必要だった。

今回の手法の核は、カスタムのModel Context Protocol(MCP)サーバを介在させる点にある。MCPはAIエージェントとツール/データソースを繋ぐオープン仕様で、本実装ではMCPサーバがKiro CLIに対し「会話コンテキストの保存」「過去履歴の取得」「メモリ使用量の監視」「AgentCore Memory基盤の管理」といったツールを提供する。これにより、CLI側は記憶ロジックを抱えずにマネージドサービスへ委譲できる。

AgentCore Memory自体はBedrockのフルマネージドサービスとして、過去の対話情報をエージェントが保持し続けるための基盤を提供する。会話の連続性が必要なコーディング支援や調査エージェントにとって、再質問のたびに前提を入力し直す手間が減る。

読者の意思決定材料として重要なのは、(1)MCPの実用パターンとしてAWS公式が記憶層連携を示した点、(2)Kiro CLIユーザーは自前のベクタDBやキャッシュ実装を回避できる点、(3)逆に保存データの範囲管理は利用側責任として残る点である。社内コードや認証情報が会話に混入する運用では、ネームスペース設計と保持期間ポリシーを最初に切る必要がある。比較対象として、Anthropic Claude CodeやOpenAI Codex CLIなど他社ターミナルエージェントは記憶層を独自設計または外部MCP任せにしているが、AWSはマネージド提供で差別化を図る形となる。