NVIDIAが2026年4月28日、医療部門であるNVIDIA-Medtechの名義で、物理情報(Physics-Informed)を組み込んだ適応的超音波画像再構成AI「NV-Raw2Insights-US」をHugging Face Blogで紹介し、同時にGitHub(NVIDIA-Medtech/NV-Raw2insights-US)でコードを公開した。
技術の軸は二つある。一つは、超音波プローブから得られる生のRF信号を入力に取り、ビームフォーミングを含む再構成処理にニューラルネットワークを組み込む点。もう一つは、物理モデルをネットワーク構造や損失関数に組み込むことで、純粋なデータ駆動よりも一般化性能とアーチファクト耐性の両立を狙う点である。関連論文としてarXiv:2302.03064が挙げられている。
実装側では、NVIDIA Holoscan Sensor BridgeとHoloscan SDKに接続する前提で設計されている。Holoscan Sensor Bridgeは医療用センサーを低遅延でGPUに取り込むための基盤で、Holoscan SDKと組み合わせることでストリーミング処理パイプラインを構築できる。今回の公開は、そのパイプライン上で動く参照モデルとしての位置づけが明確だ。
読者にとっての含意は、超音波画像の「再構成レイヤ」にAIを入れる選択肢が、NVIDIA公式の参照実装として手元で試せるようになったことにある。一方で、臨床投入には各国の医療機器規制への対応が別途必要であり、今回の公開は研究・開発のためのリファレンスである点は押さえておく必要がある。自社のビームフォーマ資産をどこまで置き換えるか、あるいは補完するかは、公開コードで画質と遅延を実測したうえで定義するのが現実的な進め方になる。