Sakana AI・総務省:偽情報対策AI技術開発
画像: AI生成

Sakana AIが総務省「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業(令和7年度)」において技術開発主体として採択され、2026年4月7日に成果を公式発表した。

開発技術は3領域で構成される。第1に「ノベルティサーチによるSNS空間可視化」で、情報拡散の構造をリアルタイムで把握する基盤を提供する。第2に「複数AIモデルを組み合わせた偽情報判定」で、フロンティア基盤モデルと独自モデルを併用し、テキストにとどまらず画像・動画の生成・加工検知や自動ファクトチェックを実装した。第3に「ABM(Agent Based Modeling)を活用した対策シミュレーション」で、同社独自のABM標準化フレームワーク『Shachi』を用い、カウンター発信の効果をミクロ視点で事前検証できる仕組みを構築した。

この取り組みが注目される理由は3点ある。まず技術設計の独自性として、偽情報対策を「検知→判定→対策効果検証」の3層に分離し、それぞれ異なるアーキテクチャで実装した点は、単一モデルの精度向上競争とは異なるアプローチである。特にABMによるカウンター発信シミュレーションは、対策の事前評価を定量化する手法として実務的な価値が高い。

次に政策的含意として、国内スタートアップが安全保障に関わるインテリジェンス領域の政府事業を主体として担い、実証まで完了した事例は、今後の政府調達や規制設計における国産技術の基準点となりうる。2026年3月16日の総務省主催成果発信イベントでは省庁・メディア・関連事業者への紹介も行われており、横展開の動きが始まっている。

最後に産業への波及として、自動ファクトチェックと生成・加工検知の実装は、メディア企業や選挙管理機関など偽情報リスクに直面する組織にとって、人手コスト削減と対応速度向上の両立を可能にする実用的な選択肢となる。海外ベンダー依存を懸念する公共セクターにとっても、国産実証済み技術の存在は調達判断を変える要因になりうる。